活用事例
メーカー
QANT Web
QANT VoC


社名
パナソニック株式会社エレクトリックワークス社
業種
メーカー
製品
QANT VoC
QANT Web
課題
FAQの検索性の低さ、問い合わせ件数の増大
成果の指標
自己解決率、プロアクティブなサポート
課題
デジタルチャネルへのシフトを推進する中で、本来電話で丁寧に対応すべき重要顧客まで一律にFAQへ誘導しているのではないかという懸念が生じた。顧客の属性や状況に応じ、最適なチャネルへ案内するパーソナライズされた対応の必要性を認識。単なる効率化に留まらず、顧客体験の質を維持する導線設計が課題となった。
解決策
Web行動に合わせ最適サポートを提示する「QANT Web」と、VoCをAIで自動解析する「QANT VoC」を導入。行動ログと問い合わせ内容を統合し、AIが「どこで、なぜ顧客が躓いているのか」を摩擦点として可視化。データに基づき、パーソナライズされた体験を自動提供する仕組みを構築した。
効果
Web自己解決率が向上し、センターの負荷軽減を実現。従来数週間を要した分析がリアルタイム化され、潜在的不満の可視化から改善までのサイクルが劇的に加速した。単なる「事後対応」から、データに基づき先回りして課題を解決する「プロアクティブなサポート」を実現している。
電気設備の分野で住宅、オフィス、ホテル、商業施設、スポーツ施設など社会を構成するあらゆる「くらしの空間」で事業を展開するパナソニック株式会社エレクトリックワークス社(以下、パナソニックEW)。
同社の顧客接点を統括するCXイノベーションセンターでは、BtoB事業特有の複雑な顧客対応における品質、生産性、そして事業貢献のバランスをいかに取るか、という課題に長年向き合ってきました。
デジタルチャネルへの移行を進める一方で、顧客の状況や属性に応じた最適なサポート体験の提供には、新たなアプローチが求められていた同社は、「QANT Web」と「QANT VoC」を導入。
データドリブンな顧客接点改革を加速させています。その背景と展望について、CXイノベーションセンターでDX推進を担う三好 惇也さん、原田 盛正さん、池上 千裕さんの3名に話を聞きました。
三好:コンタクトセンター運営においては、品質、生産性、そして売上への貢献という3つの柱をどう両立させるかが常に課題となります。当社は電気設備周りのBtoBビジネスを主軸としています。法人のお客様の中でも、意思決定権の有無などに応じて、対応の緊急度が異なります。
しかし、コンタクトセンターの運用は基本的に均一の品質を担保することが前提となるため、お客様ごとに対応の濃淡をつけるといったオペレーションへの落とし込みに難しさを感じていました。
三好:はい、電話がもっとも多く、年間で約60万件のお問い合わせをいただいています。ただ、5〜6年前からFAQサイトなどデジタルチャネルへのシフトを進めており、電話の件数は減少傾向にあります。
現在では、すべての顧客接点のうちデジタルでのコンタクトが占める割合を示す「デジタル相談化率」という指標が95%に達しました。

三好:デジタル化によって多くのお客様に自己解決の手段を提供できるようになりましたが、その一方で、本来は電話で丁寧に対応すべき重要なお客様までFAQへ誘導してしまっているのではないか、という新たな課題意識が生まれました。
これまでは画一的にデジタルシフトを進めてきましたが、次のステップとして、お客様の属性や状況に合わせて最適なチャネルへご案内するという、よりパーソナライズされた対応が必要だと考えていました。
池上:はい。これまでは、お客様がFAQを閲覧して解決できなかった場合、もう一度ご自身で電話やメールといった別のチャネルを探していただく必要があり、手間が発生していました。
また、FAQで解決できる内容であるにもかかわらず、最初から電話でお問い合わせいただくお客様もいらっしゃいます。
三好:お問い合わせの内容に応じてチャネルを変えるソリューションは他にもありますが、我々が実現したかったのは、それに加えて「お客様ごと」に出し分けを行うことでした。
そのためには、Webサイトを訪れたお客様が「誰なのか」を特定し、同時に「何に困っているのか」を把握する仕組みが不可欠です。この2つを両立できるソリューションは「QANT Web」以外に見当たりませんでした。
「QANT Web」は、Web上の顧客行動データをもとにお客様の困りごとを問い合わせ前に検知し、適切なFAQや問い合わせ窓口など各サポートチャネルへの導線の最適化を行うことができるツールです。

池上:まず、一度お電話いただいたお客様にSMSでNPS®アンケートを送付しています。
そのアンケートフォームのURLにCRM側の受付ナンバーを埋め込むことで、回答時に取得するCookie情報とお客様情報を紐付け、次回Webサイトに訪問された際にどのお客様かを判別できる仕組みを構築しました。
この仕組みを活用し、たとえば代理店やリフォーム会社といった特定の顧客属性の方には「お困りごとはありませんか?」というポップアップをプロアクティブに表示します。
お客様が選択したお困りごとの内容や状況に応じて、より早く・確実に解決へつなぐことを重視し、緊急性が高い場合は電話、自己解決が可能な場合はFAQといったように、最適なチャネルへシームレスにご案内しています。
こうしたCXを起点としたチャネル設計の結果として、自己解決の促進やオペレーター対応の効率化にもつながっています。

三好:入電件数の明確な削減まではまだ把握できていませんが、FAQの閲覧データから、月間約800件が自己解決につながっていると推計しています。
これを1件あたりの電話応対コスト(CPC)に換算すると、月間で約100万円規模のコスト削減に寄与していると見ています。
原田:VoC活用には「収集」と「分析」の両方の質が重要ですが、我々はその両方に課題を抱えていました。
まず「収集」の点では、オペレーターがお客様との会話内容を要約して手入力で記録していたため、担当者によって情報の粒度や内容にばらつきが生じ、データの信頼性に課題がありました。
そして「分析」の点では、従来のテキストマイニングツールでは、単語の出現頻度や単語同士の関連性を分析するのが主で、お客様が具体的に「何に」困っているのかという本質的なインサイトを得るには粒度が粗すぎました。
そのため、分析結果を他部署に展開しても、具体的なアクションにはつながりにくい状態でした。

原田:はい。オペレーターの手入力によるばらつきをなくすため、まず全通話をテキスト化し、それを生成AIで要約してVoCとして活用しようと考えました。
しかし、実際にやってみると、オペレーターの業務で使うための「後処理用の要約」と、VoCを分析するための「分析用の要約」とでは、求められる情報の質がまったく異なることがわかりました。
三好:後処理用の要約は、次に同じお客様から連絡があった際に経緯がわかればよいので、簡潔さが求められます。しかし分析用の要約には、お客様がなぜその要望に至ったのかという背景やコンテクストが不可欠です。
生成AIによる要約では、そうした重要な情報が抜け落ちてしまうケースがあり、やはりテキスト全文を分析する必要がある、という結論に至りました。
原田:はい。膨大な音声データをテキスト化したものを人の手で分析するのは不可能です。「QANT VoC」は、AIが会話の文脈を理解し、人間が活用できるレベルまで自動で情報を分類・可視化してくれるため、我々の課題を解決できると考えました。
三好:これまで「設定に関する問い合わせ」といった大きな粒度でしか把握できていなかったVoCを、「どの製品の、どのような状況で、何の設定に困っているのか」という具体的なレベルで分類・定量化できるようになりました。
恥ずかしながら、我々はコンタクトセンターを運営していながら、お客様から寄せられる問い合わせの具体的な内容と量を正確に把握できていなかったのだとわかりました。
今はその情報をもとに、問い合わせ件数が多いものから優先順位をつけてFAQを改善するといった、データに基づいたアクションが実行可能になりました。

原田:試験的に食洗機に関する問い合わせデータを分析したことがあります。以前から「備品に関する問い合わせ」が多いことはわかっていましたが、その中身を深掘りしたところ、特に「カゴ」に関する問い合わせが多いことが判明しました。
さらに分析を進めると、その多くが「カゴが錆びる」という内容で、原因はお客様が「包丁を一緒に入れて洗っている」ことだと特定できました。
この分析結果は関連部署にフィードバックされ、取扱説明書に注意事項として追記する、という具体的な製品改善のアクションにつながりました。
原田:Webサイト上での行動履歴と、コンタクトセンターに寄せられるVoCをつなぎ合わせたいと考えています。VoCの分析には、お客様が問い合わせに至るまでの行動、つまりコンテクストが非常に重要です。
三好:この2つのデータが連携できれば、たとえば「このページを閲覧しているお客様は、過去のデータからこのような困りごとを抱えている可能性が高い」と予測できるようになります。
そして、お客様が問い合わせのアクションを起こす前に、こちらから解決策を提示する。そんなプロアクティブなサポートを実現したいですね。

池上:究極的には、お客様一人ひとりに合わせた完全なパーソナライゼーションです。現在はまだ顧客属性ごとのセグメントで対応を分けている段階ですが、将来的には個人単位で最適なチャネルをご案内できるようにしたいです。
原田:Webサイトの体験も変えていきたいです。過去の行動履歴やVoCデータから、お客様ごとにページの構成自体が変わる、といったことも面白いかもしれません。
あるお客様には検索ボックスを一番上に、別のお客様にはカテゴリ一覧を、といったようにUIそのものを最適化していく。
三好:顧客属性や困りごとといった軸だけでなく、チャットが好き、電話が好きといった個人の嗜好までも反映させ、一人ひとりに寄り添った顧客体験を提供していく。そこを目指して、これからもデータ活用を進めていきたいと考えています。
